1.相続人と連帯保証人の役割についてお調べですか?
最近身近な方が亡くなられ、自分が相続人になっているかどうかについてお調べですか?
もしくは、家族や親戚が賃貸物件の賃貸契約を結ぶにあたって必要と依頼された連帯保証人の役割についてお調べでしょうか。
現在賃貸物件を貸し出していて、店子と賃貸契約を結んでいるが、法律上、主契約者が亡くなった場合には連帯保証人と相続人のどちらに残った家賃請求が行くのかなど、疑問に思っている大家の方もいらっしゃるかもしれません。
このページでは、相続人と連帯保証人の違い、それぞれの被相続人や主契約者に万が一の不慮の事態が発生した場合の対処について紹介していきます。
賃貸物件の大家の方、合わせて遠方に住む親戚の賃貸契約の連帯保証人となっている方など、目を通しておくといざというときへの備えとなるかと思います。
2.相続人と連帯保証人について
相続人とは一般的に法定相続人のことを指します。
法定相続人については民法でそれにあたる人が定められていて、具体的には亡くなった方本人である被相続人からみてその配偶者、子、親、兄弟姉妹などが当たります。
さらに子がいない場合、親が法定相続人となりますが、その場合は兄弟姉妹は法定相続人になれません。
また、正式な婚姻関係にない内縁関係にある人や、非嫡出子は法定相続人になれません。
婚姻関係やそれに付随する血縁関係がある場合においてのみ、民法では法定相続人となることを認めています。[/aside]
法定相続人であっても、家庭裁判所に所定の期間内に申し出をすることで、相続を放棄することができます。
マイナスの財産を相続することにが予想される場合など、法定相続人がこういった手続きを行うこともあるでしょう。
相続する財産の全体がつかめず、トータルでマイナスになるかプラスになるかわからない場合では、前もって相続分がマイナスにならない程度に相続する限定承認という方法もあります。
対して連帯保証人とは、賃貸契約などの際、契約者と同等の責任を負う人のことです。
いわゆる保証人はその契約の中で、保証の範囲が定められています。
しかし保証人と違い、連帯保証人はその責任の広さに制限がありません。
賃貸物件の契約の場合、連帯保証人はその物件を実際に借りている訳ではないにもかかわらず、実際に借りている契約者と同じだけの責任を負うケースが多いです。
いわゆる、事業に際する借金などの連帯保証人になってはいけない、という通説は、こういった連帯保証人の責任の広さから来ています。
連帯保証人は実際に借金をして、金銭を得ていないにもかかわらず、借金をした本人と同じだけの責任と負債を負う形になるからです。
連帯保証人には他にも一見して不利な条項がいくつかあります。
債権者から請求を受けた際、主債務者である契約者に先に請求するように要求することができないということです。
つまり契約者が支払いを怠っていない場合でも、債権者からの請求が連帯保証人へと来てしまうこともあるということです。
賃貸契約の場合は家賃や、敷金では不足する退去時のクリーニング代、リフォーム代がこの請求に当たります。
さらに、連帯保証人には検索の抗弁権がありません。
これは債務の回収の際、主契約者の財産から先に回収するようにと要求することができないということです。
これも先の項目と同じく、契約者に債務を返済できるだけの財産を持っていることがわかっている場合でも、債務者は連帯保証人に債務の返済を求めることができることになります。
このように連帯保証人の責任は大変重いものになります。[/aside]
[aside type=”normal”]また、賃貸契約の連帯保証人は親族や家族に限られる場合が多く、知人や友人などが連帯保証人となることを認めていない場合が多いです。
さて、これまで紹介してきたことをまとめると、法定相続人は被相続人の財産をプラスマイナスに関わらず引き継ぐ権利を持つ人、連帯保証人は契約者と同等の責任を負う義務がある人になります。
これは大きな違いになります。
大家からみて、賃貸物件の契約者の連帯保証人には、契約者と同じだけの債務を負わせることができますが、契約者の相続人には債務の相続の権利があるだけでなので、相続人は債務について放棄することもできます。[/aside]
この違いが具体的にはどういった事態に際して問題となるかを次の項で説明していきます。
3.賃貸物件で孤独死が発生した場合の相続人と連帯保証人
賃貸物件にていわゆる孤独死、家族や知人がそばにおらず、お一人で最期を迎えられる方が発生した場合、まず大家として連絡するのは連帯保証人でしょう。
連帯保証人に連絡が取れない場合は、契約者の相続人にあたる親族や兄弟に連絡を取るのが良いでしょう。
しかし先述したとおり、相続人は相続を放棄することもできるので、例えば物件の残った家賃や、敷金で間に合わないクリーニング代の支払いなど、被相続人のマイナスの財産の相続について判明した場合には応じてくれない場合も多くあります。
そういった場合は負担を結果的に大家がかぶることになるため、連帯保証人がいないということは非常に困ったことになります。
なので、契約者に不慮の事態があった場合はまずは物件の賃貸契約を結んだ際の連帯保証人に連絡を取ることが肝心です。
日ごろから連帯保証人とすぐに連絡を取れる状態にしておくことや、賃貸契約の更新の際などに都度連絡をすることが必要といえるでしょう。
孤独死の現場では、ご遺体由来の血液や体液の影響で建材が損傷したり、ウジやハエ、ゴキブリなどの害虫の発生がおきたりなど、通常のハウスクリーニングのみで次の借主に貸し出すことができない状態になっていることがあります。
さらに、独特の死臭や害虫の発生は、放置しておくと近隣の別の建物や、同じ建物内のほかの住民に対しても悪影響を及ぼす結果となります。
こういったことへの対処は概ね、時間が経過するほど事態が悪化する傾向にあるため、よりスピーディーな対応が求められるところです。
また孤独死の現場は、近年問題になっているセルフネグレクトと呼ばれる状態、身の回りや部屋の状態への極端な無関心、放棄により、いわゆるゴミ屋敷に近い状態に陥っていることも少なくありません。
借主に部屋を貸している間は、一般的に貸主がそこに立ち入ることは少ないため、孤独死の事態が起きてからセルフネグレクトによるゴミ屋敷の実態が明らかになるというケースもあります。
こうした状態の部屋を洗浄、原状復帰して次の借主に貸し出すには、通常のハウスクリーニングだけでは不足している場合がほとんどです。
ましてクリーニングが不足した状態のまま放置しては、内見が来ても次の借主が付かない場合も多いでしょう。
そういった状況の部屋の清掃には、特殊清掃と呼ばれるご遺体由来の影響について除去、洗浄のノウハウを持っている業者に依頼することがベストです。
通常のハウスクリーニングでは対応不可能な、さまざまなご遺体由来でもたらされる建材や住居への影響について作業を行ってもらうことができます。
例えばご遺体の見つかった場所が長期間放置されていた場合など、独特の死臭が部屋に残って問題となることがあります。
死臭は建材や調度品、部屋の中にあるホコリなどにしみついてしまうため、通常の掃除やクリーニング作業では容易に取り除くことができません。
賃貸住宅の場合、次の借主に貸し出すにも、部屋に独特の死臭が残ったままですとなかなか借り手が付かず問題になるケースが多いです。
特殊清掃業者は通常あまり目につかない、問題にならない場所のホコリまで消臭のため徹底的に清掃し、市販とは違う専門の消臭剤やオゾンを使用した消臭機などを利用して消臭を行います。
また臭度計を用いた作業前後でのにおいの計測などで、効果測定を行っている業者もあります。
こういった特殊清掃の業者への依頼には、清掃という名称で連想する通常のハウスクリーニングの料金と違い、やや高額になる傾向があります。
特殊清掃の作業内容、必要な設備や技術を鑑みると仕方のないことですが、賃貸住宅の場合大家がその負担を負うのは難しい場合もあるでしょう。[/aside]
4.連帯保証人や相続人に協力を得て、より良い事態収拾を
賃貸物件で孤独死が発生した場合、大家の方はその後の借主をみつける際への影響、近隣の方への影響についてなど、多くの懸念事項が発生するでしょう。
さらに、部屋の原状復帰のためにかかる費用や特殊清掃にかかる費用負担など、考えることが多くあります。
連帯保証人に連絡が取れる場合は、連帯保証人に諸手続きを任せることができますが、問題は連帯保証人に連絡が取れない、または実際にその能力がない場合です。
そういった場合でも、相続人に協力をしてもらうことで事態の収拾を図ることはできます。
相続放棄を相続人が考えている場合でも、多くの場合、身内の死に際し、できるだけのことはしておきたいと考えることは多くあります。
大家としては連帯保証人でなくても、孤独死された契約者の親族に関しては高圧的にあたってしまう場合もあるようですが、これはよい対処とは言えません。
相続人の協力を取り付けるためにも、円満なコミュニケーションをとることが必要といえるでしょう。
このように、連帯保証人に連絡が取れない場合でも、大家だけで費用負担を抱え込まず、相続人のできるだけの協力を仰ぐことがよりよい結果となることもあるでしょう。
5.「相続人と連帯保証人の違いとは」まとめ
- 相続人とは一般的に法定相続人のことを指します。
- 法定相続人については民法でそれにあたる人が定められていて、具体的には亡くなった方本人である被相続人からみてその配偶者、子、親、兄弟姉妹などが当たります。
- 連帯保証人とは、賃貸契約などの際、契約者と同等の責任を負う人のことです。