【年間200件の事例】から学ぶ「孤独死対処方法」

警察から事故現場の入室許可がおりない場合(交渉)

ポリスマン

1.ご遺体の発見後、なかなか清掃が始められず困っていませんか?

孤独死現場

お一人で部屋で亡くなられた方が発見されたものの、その居室の清掃のための警察の許可がおりずに困っていませんか?
いつまでもそのままにしておく訳にはいかないものの、とりあえず部屋の状況の確認もできず、今何をすればいいか迷っている方もいらっしゃるでしょう。
あるいは、遠方の親戚や家族がお一人で亡くなられているのが発見されたとの報をうけ、戸惑いの中でまずはどうすればいいかと考えているところかも知れません。

ご遺体が損傷していた、害虫が発生していた、臭いが発生しているなどの痛ましい事態に心をいためてらっしゃる中、今できる対処について考えられているかと思います。
また、所有している賃貸物件で孤独死された方がいらっしゃり、判明するまでの時間の経過により、ご遺体由来の死臭や、ハエやウジ、ゴキブリなどの害虫の大量発生がおき、どう対処したら良いか困っていらっしゃいませんでしょうか。

大家として、事態に戸惑っている連帯保証人の方や関係者の方に強く出られないものの、他の住民からの、ご遺体由来の死臭や、大量発生した害虫についての多くの苦情もあり、困り果てている方もいらっしゃるかと思います。
このページでは、ご遺体が発見された直後、その居室の片付けや清掃について警察の許可がなかなかおりない場合など、まずはどうしたらよいか、などについて説明していきます。

2.警察の許可が必要な理由

何日も姿が見えない、居室から異臭や害虫の発生があるなどに周囲が気づき、警察や関係者の同行のもと、居室でご遺体を発見したとします。
この場合、ご遺体が腐敗しているなどの様子から、明らかに死亡しているとわかる方が発見された場合も、必ず通報が必要です。
その上で身元確認や、その死の事件性の有無について警察の鑑識、調査が行われます。
扱いとしては、その死の原因がわからないうちは変死となるため、調査を行っている間は現場の保全の意味からその場所の片付けや清掃などが行えません。
また、事件性がないと判断されるまでは、警察以外の人の立ち入りもできません。
そのため、ご遺体の腐敗や死臭の広がり、害虫の大量発生などが起きていても、業者による処理はもちろん、遺族の立ち入りも制限されます。

すぐに清掃や片付けに入ることはできません。

カーペット上で孤独死

こういった場合の多くは、近年社会問題となっている孤独死や孤立死といわれるケースです。
孤独死、孤立死とは、何らかの理由で家族や親族、地域コミュニティから遠ざかって縁遠くなっていた人が、事件や事故、自殺、病死や衰弱死などの理由で、お一人で誰にも看取られることなく亡くなられた事態を指します。
こういった亡くなり方をされることは大変痛ましいことであると同時に、そのご遺体が長いこと発見されなかった場合など、現場がとても凄惨な状態になることはしばしばあります。

いわゆる死臭の発生や、ご遺体由来の血液、体液による建物の建材の損傷、ハエやウジ、ゴキブリなどの害虫の大量発生、さらにはご遺体そのものの腐敗などがそれにあたります。
お亡くなりになってから発見されるまでの期間、季節気候などによりご遺体の状態はさまざまですが、一般的に発見されるまでに期間が経てば経つほど、ご遺体とご遺体のあった部屋の状態は悪化していきます。
冬場であっても、暖房器具をつけたままお亡くなりになっていた場合などでは、ご遺体の損傷や影響がより早く深刻に進むこともあります。

また集合住宅などの賃貸物件ですと、両隣の部屋、階下の部屋などにまで影響が及んでしまうことがあり、近隣からの臭いや害虫発生への苦情から事態が明らかになることもあります。
こういった事態の清掃、片付けは、通常のハウスクリーニング業者では行えません。
無理に依頼をしたとしても、十分な結果が得られないばかりか、高額な料金を請求される場合もあります。
独特の死臭の消臭や、部屋に残った血液や体液からの万が一の感染症などを防ぐための消毒の専門知識と技術を持った、特殊清掃と呼ばれる分野の業者が行うことになります。

併せて、故人の持ち物を処分する遺品整理や、床材や壁紙などにご遺体由来の血液や体液から損傷があった場合、リフォーム工事を行う場合もあります。
こういった遺品整理やリフォーム工事についても、特殊清掃業者が作業の中で併せて行ったり、提携業者を紹介の上、作業の手続きを進めていきます。
特殊清掃で行われる作業は専門的な技術、設備が必要なうえ、そうしたご遺体のあった現場は、遺族が作業を行うにはあまりにショッキングな場合があります。
無理に遺族や関係者で作業を行おうとすると、心身に支障をきたす場合もあります。
ご遺体のあった部屋の片付け、害虫駆除や独特の死臭の消臭の必要などがある場合は、特殊清掃の業者に依頼をするのがもっとも適切といえるでしょう。

3.特殊清掃業者と見積もり、部屋に入らなくともおおよそできること

先の項でお伝えした特殊清掃と呼ばれる清掃が行える業者の多くは、部屋の広さや規模だけでなく、部屋の状態や必要な処理について始めに見積もりをしてから作業に入リます。
またご遺体のあった部屋の中の清掃が主な作業となるため、警察の許可がおりる前に作業することはできません。
もし作業をさせてしまった場合、特殊清掃業者も、またその作業を依頼した依頼主も罪に問われる恐れがあります。

しかし、部屋に入れなくとも、最初に故人の関係者に伝えられるおおよその状況で、概算での見積もり、作業準備を進めることは可能でしょう。
警察から、亡くなられた方の関係者に連絡が入る際、推定される死亡からの日数、死因、また場合によってはいつごろになれば部屋に入ることができるかなどの情報が伝えられます。
この情報を依頼した特殊清掃の業者に伝えることで、およその作業予定をあらかじめ立てることができます。
多くの場合、ご遺体のあった部屋をそのまま放置しておくと、臭いや害虫、損傷などの事態はどんどんと悪化します。
できるだけ早く特殊清掃の作業に入るためにも、警察の許可がおりてから特殊清掃の業者に連絡するのではなく、事態を把握した時点ですぐに特殊清掃の業者に依頼をしてみるのがよいでしょう。
詳しく状況を説明することによって、特殊清掃の業者による作業準備や概算の見積もりの連絡をうけることができます。
また業者によっては、窓やドアの隙間への目張りによって大量発生した害虫が外に漏れ出すのを防ぐなどして、部屋に立ち入らずともできる作業で周囲への影響を最小限に抑えるべく動いてくれる場合もあります。

4.まずは警察の許可がおりるのを待ちましょう

家族や親族、見知った人の死に直面しているばかりか、臭いや害虫の苦情が近隣から強い口調で寄せられる状態に、焦って気が動転してしまう方も多くいらっしゃるかと思います。
できる限りの状況についての説明を警察に受けた後は、特殊清掃の業者に依頼をし、まずは警察からの現場の保全が解かれ、清掃の許可がおりるのを待ちましょう。
併せてご遺体を引き取って葬儀の手続きをする必要などもあるでしょう。
特殊清掃を業者に任せる場合、ご遺体由来の血液や体液からの万が一の感染等を防ぐ意味でも、作業の現場での立会いは特に必要ない場合が多いです。

見積もりを了承したらそのまま現場を任せましょう。
予想外の事態に戸惑われている遺族の方、関係者の方が一刻も早く安心できるよう、周囲への配慮を持って注意深く作業を進めていくことのできる業者を選ぶと良いでしょう。
実際の作業の中では、必ず作業者はマスクや防護服、養生をした上で作業を行います。
専門の消毒剤や消臭剤の散布、徹底的な清掃や、幼虫や卵まで含めた害虫駆除などもさることながら、専門業者であるからこそ行える細やかな対処があるでしょう。

例えば集合住宅の場合、周囲への配慮として、作業を行う際のエレベータやホールなどの共用スペースへの養生が必要です。
またご遺体由来の体液や血液のついた物品の運び出しの際には、周囲への影響を防ぐため、厳重な梱包を行う、物品についての確認を行い、置忘れを防ぐなどの配慮がなされている業者を選んだほうが、最終的にトラブルなく終わることができます。

では、特殊清掃の業者を選ぶ際、どのようなことに気をつけたら良いのでしょうか。
特殊清掃の業者の選び方について説明します。

5.特殊清掃業者の選び方

始めに、特殊清掃の業者を選ぶポイントは2つあります。

ポリスマン

MEMO

1つは作業前の見積もりの明確さ、2つめは見積もり後の作業への取り掛かりの早さです。

作業前の見積もりの明確さはそのままかかる料金に関係してきますので、言うまでもないことかと思います。
明確でない見積もりの元で作業を依頼することは、その後のトラブルにつながりがちです。
作業後の支払いのトラブルを防ぐためにも、明確な作業見積もりを出してくれる特殊清掃業者に依頼をするほうが良いでしょう。

またご遺体の発見の時点で臭いや害虫が発生している場合などは、即日対応できる業者に依頼するなどして、なるべく早く特殊清掃を始めることが、最終的にかかる作業量、金額を軽減することにもつながります。
そういった部分は、見積もりの時点で即日対応できる脱臭機などの装備や養生に使う消耗品、器具などの物品を携行しているか、またいつでも対応できるスケジュール体制を整えているかなどから判断することができます。

お一人で亡くなられた方の死について、トラブルなく後処理を済ませるために、特殊清掃業者をしっかりと選ぶことはとても重要です。
これまでの対処やさまざまなケースでのかかった金額などをインターネット上のホームページに記載している業者も多く見られるため、参考にすると良いでしょう。

6.「警察から事故現場の入室許可がおりない場合(交渉)」まとめ

  • まずは警察の許可がおりるのを待ちましょう
  • ですが、できるだけ早く特殊清掃の作業に入るためにも、警察の許可がおりてから特殊清掃の業者に連絡するのではなく、事態を把握した時点ですぐに特殊清掃の業者に依頼をしてみるのがよいでしょう。