【年間200件の事例】から学ぶ「孤独死対処方法」

事故現場の悪臭を広げないために最初にしなければいけないこと

悪臭

1.ご遺体由来の悪臭でお困りですか?

普段暮らされている居室で突然ご家族のお一人が亡くなられ、不運にも死後数日たって発見されたため、部屋に独特の臭いがする気がする、とお悩みではないですか?
もしくは、ご遺体由来の臭いの消臭を特殊清掃の業者に依頼する前に、何か自分でできることはないか、と探していらっしゃるでしょうか。

特殊清掃の業者に依頼をしようとしたものの、清掃という内容にしては高額な見積もりを聞いて、自分でなんとかしたいとお考えの方もいらっしゃるかと思います。
このページでは、まずは悪臭を広げないためのポイント、また死臭への対処についてお伝えいたします。

2.臭いを広げないためには

ご遺体由来の死臭を断ち、部屋を完全に消臭するために必要なことについて簡単に説明していきます。
まずは、臭いの元を断つことが何よりも重要です。

腐敗し、死臭を放っていたご遺体の触れていた物、血液や体液が触れた物すべてを部屋から除去し処分をすることが重要です。
腐敗したご遺体の触れていた寝具、カーペット、敷物などは、まずできるだけ部屋の外に運び出して処分することです。
無論、ご遺体由来の血液や体液が別の場所に付着したり、飛び散っていた場合は、それらが付着している畳やカーテンなども処分が必要です。

ご遺体由来の血液や体液の付着、その広がりによって、独特の臭いは広がってしまうため、壁紙や床材の除去が必要な場合もあります。

事故物件

次に、作業の際に気をつけるべきこととして、ご遺体由来の血液や体液を他の場所につけないことがあげられます。
たとえば作業服や靴の裏にご遺体由来の血液や体液をわずかでも付着させて、そのまま部屋の別の場所に歩き回ることでそれを広めてしまうと、臭いを広めてしまうことにつながります。
そのため臭いを広げないために、作業中にむやみに歩き回らない、またご遺体由来の血液や体液が付着した物の運び出しの際はしっかりと梱包してから運び出す、などの注意が必要です。

もちろん梱包材についてもそのまま処分が必要です。
ご遺体のあった部屋に立ち入ることは心理的抵抗も大きく、なかなか冷静に振舞うことが難しいかと思われますが、努めて冷静に作業を行う必要があります。
闇雲な作業がかえって逆効果になることもあるのです。
またこういった臭いの元になるご遺体由来の血液や体液の広がりの対策としては、床にタオルや毛布を敷いておいて、最後にまとめてすべてを処分するなどのやり方もあります。

ご遺体由来の死臭は、家具の上にたまったホコリや、部屋にたまった汚れなどにも染み付くため、ご遺体のあった部屋だけでなくすべての部屋や押入れなどをくまなく掃除することも必要です。
同じ建物内では離れた部屋にも、空気中に漂うホコリの広がりによって、臭いが広がっていくことは避けられません。

また家具や調度品、家財道具などにも時間の経過と共に臭いが染み付き、やがて臭いの元となっていくため、ご遺体の見つかった部屋やその周りの部屋にあった物はすべて処分する必要がある場合もあります。

掃除や臭いの元の処分が終わったら、全体的な消臭を行います。
一般の部屋の臭いには芳香剤を用いることもありますが、死臭に対して効果を発するのは消臭剤だけです。
芳香剤を使用すると、一時的に臭いが緩和されるように感じますが、数日で効果が切れてまた独特の死臭が戻ってきて、元の状態と同じように感じられることでしょう。
ですので、ご遺体由来の死臭の除去には必ず消臭剤を用いましょう。

消臭作業

簡単ではありますが、自分で死臭を消臭するとなればこういった手順と注意点があるでしょう。

3.特殊清掃専門業者に頼むことが近道でもあります

ご遺体由来の独特な死臭の除去は、通常のハウスクリーニング業者では対処しきれません。
依頼できても十分な結果を得られないばかりか、高額の料金を請求される場合もあります。

もちろん状況にもよりますが、一般の方の行える清掃や消臭では追いつかない場合の方が多いです。
先に簡単にご遺体由来の独特な死臭の消臭の方法のポイントをご説明しましたが、実際にこの内容をしっかりと行おうとするだけでもかなり難しいのは確かです。

こういったご遺体にからむ清掃や臭いの除去を行う専門業者として、「特殊清掃」とよばれる清掃を行える業者の存在があります。
ご遺体が発見された部屋では、独特の死臭のほかにも、ご遺体の腐敗にともなう床材や壁材の損傷、調度品や家財道具の傷み、またハエやウジ、ゴキブリなどの害虫の大量発生などが起きます。
そのため、二次感染の防止のための消毒や、特殊な薬剤を使った臭い除去、成虫だけでなく幼虫や卵も含めた害虫駆除に専門のノウハウを持つ特殊清掃の業者に処理を依頼したほうが、より効果的かつスムーズに事態を収拾できるでしょう。

特殊清掃の業者は、インターネットなどで地域名と併せて検索することで探すことができます。
一般的なハウスクリーニングと同じく出張作業での対応になりますが、地域によっては消臭技術力の高い特殊清掃業者が存在しておらず、遠方の特殊清掃業者でもきちんと作業能力高い選択が望ましいといえるでしょう。

4.特殊清掃の業者の選び方

一口に特殊清掃といっても、その業者の実態はさまざまです。
ここでは特殊清掃を業者に依頼することとなった際の業者の選び方について説明します。

まず重要視してほしいのは、業者の見積もりの明確さと、見積もりに来た際の装備です。
見積もりの明確さは作業価格に関する事柄なので、その重要性はご理解いただけるかと思います。
どんな作業内容にせよ、かかる料金が不明瞭なまま作業に入ってほしいという人はいないでしょう。

しかし、見積もりに来た際の持参した装備、設備については疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ここで注意すべきなのは、見積もりから即作業に入ることのできる状態で来ているかという点になります。

特殊清掃が必要になる、お一人で亡くなられて死後時間が経ってから発見された方のご遺体のあった部屋は、時間が経つにつれてその損傷やご遺体由来の死臭の発生、ハエやウジ、ゴキブリなどの害虫の発生が激しくなります。
そのため、見積もり後、なるべく早くに作業を開始できる業者を選ぶことが、ひいてはかかる費用や影響をなるべく小さくとどめることにも繋がるのです。
全体の作業着手ができなくとも、ご遺体由来の血液、体液除去だけでも即日で行ってくれる業者、そのための装備や設備を備えている業者を選ぶと良いでしょう。

次に、極端な低価格の業者を選ばないことです。
特殊清掃業界ではまだまだ「安かろう、悪かろう」の風潮があり、低価格の業者は十分な消臭を行えないことがあります。
臭いを完全に除去することができないと、その臭いは部屋の床材や壁材などの建材に染み付くこととなり、結果、部屋全体リフォームが必要になる事態へと発展してしまいます。

リフォーム代金が後々かかることを考えると、最初の消臭が低価格であってもさらに費用がかさむため、しっかりとした消臭を最初に行うよりも高額の料金が結果的にかかってしまいます。
清掃という名称から連想する額よりは一見高額にみえるかもしれませんが、特殊清掃には数万円から数十万円の費用がかかる場合が多いです。
一般的なハウスクリーニングとはまったく異なった作業、料金になるという認識が必要です。

害虫の発生、ご遺体由来の血液や体液による部屋の損傷についてももちろんですが、傾向としては臭いの除去を得意としている業者を選んだほうが良いでしょう。
特殊清掃の業者の利用する消臭剤は、もちろん市販されている消臭剤ではありません。
専門の薬剤を複数利用する業者や、オゾンを利用した消臭機材などを使用する業者がありますので、しっかり作業内容、実績や評判を見て選ぶ必要があります。

この臭いの問題は特に深刻になる場合が多く、賃貸物件などでは周囲への臭いの影響から補償問題になるケースもあります。
自身の所有物件であっても、近隣住民への迷惑を考えると十分に配慮の上対処したいところです。
こういった臭いの問題は、腐敗したご遺体から引き起こされるトラブルのなかでも特に深刻な事態を引き起こしえます。
強烈な臭いのショックで体調を崩す方も少なくありません。
二次的なアクシデントを防ぐためにも、しっかりとご遺体由来の死臭の除去を行うことが必要です。

また多くの場合、特殊清掃の必要になる現場では、遺品整理やリフォームなどの作業も平行して必要になります。
部屋に残された家財道具のうち、死臭の影響が見られるものは処分し、故人や周囲にとって大切なものを遺品として手元に残すための判断をする必要もあります。
リフォームについては床材や壁紙の交換、畳の交換、場合によっては部屋全体の設備の交換などが必要になる場合もあるでしょう。
そういった作業についても請け負っているか、他の業者と適切な連携をもっている業者をあらかじめ選んでおいた方が、ご遺体のあった部屋を元通りに使用するための作業についてしっかりと進めることができるでしょう。

5.業者に依頼しても臭いが気になるとき

MEMO

ご遺体由来の死臭は強烈なため、実際には臭いがほぼ消えていても最初のショックの影響で臭いが感じられてしまうことがあります。
これをプラシーボ効果といいます。

臭いを数値化して示す器具などを作業前後に使用している業者もあるので、自分や家族、周囲の方がご遺体の臭いに強いショックを受けている場合など、測定器具の使用をしている業者の選定を考慮してみる必要もあります。

6.「悪臭を広げないために最初にしなげればいけないこと」まとめ

  • ご遺体由来の悪臭となる死臭の対処を自分で行う場合は、徹底的な臭いの元の除去、またご遺体由来の血液や体液を他の部屋にも広げない、という注意が肝心ということになるでしょう。
  • そして多くの場合、特殊清掃の専門業者に依頼することが確実といえます。